星野スマイル

1988年全国高校野球選手権大会夏の甲子園

準々決勝第三試合。

埼玉県代表、浦和市立高校(甲子園初出場)

vs

山口県代表、宇部商業高校(同年選抜ベスト8)。

 

 

9回裏宇部商の攻撃

ワンアウト一塁三塁(ニ塁三塁かもしれん)

スコアは3対3の同点。

バッターは4番の力丸。

一打サヨナラの大チャンス。

 

守備のタイムをとり伝令がマウンドに走る。

内野陣もピッチャーズマウンドに集まる。

 

浦和市立の星野投手の顔面は

真っ青で、その表情はあたかも

死刑台に昇る囚人みたいな顔になってると

期待して、テレビを観ていると

ニコニコと

八重歯を出して笑うとるやないけぇ!!

この絶体絶命ともいえる大ピンチに。

 

これが、この年の夏の甲子園の代名詞になる

星野スマイルです。

 

 

1988年の埼玉県代表は

浦和市立高校。

 

東大合格者を多数出す、あの浦高だ。

浦和市立高校を略して浦高だと。

 

「走り込みは勉強よりしんどかった」という

野投手のエピソードを

実況が話しているのを聴いて

さすが東大合格者数ベスト10に入る高校だと。

 

阿久悠の「十指に入る進学校というのがいい」という

ふざけたコラムもよう覚えてます。

 

しかし浦和に引っ越してから

とんでもない勘違いだと気づかされることになります。

浦高は県立浦和高校だったんやな。

 

 

当時、大阪で浪人生活を送っていた私にとって

この年の夏の甲子園

初日で大阪代表の近大付属が

栃木の宇都宮学園

(元オリックス高嶋、元ヤクルト真中がいる)に

1対2で負けた時点で

ほぼ興味が失せてしまっていました。

 

なぜなら、私は大の地元大阪と近畿勢びいきだからです。

 

ちなみに宇都宮学園の2点は

高嶋の2ランホームラン。

 

約5ヶ月前の春の選抜でも

宇都宮学園は準々決勝で

大阪代表の上宮(元木大介が2年生でレギュラー)を

延長で破っています。

(5対0上宮リードから逆転負けという悪夢)

 

大阪勢にダブルを喰らわした

この憎っくき宇都宮学園をどこでもええから

ぶっ倒して欲しい!

興味の対象はそこに変わりました。

 

 

それを3回戦で浦和市立がやってくれました。

先制されましたが

野投手のタイムリーツーベースで追いつき

延長で宇都宮学園に勝利しました。

浦和市立の校歌が流れているときの

宇都宮学園左腕エース影山投手の涙が

印象に残っています。

 

しかし、ほっとしたのも束の間

浦和市立は次の準々決勝でも

山口県代表の宇部商業を破ってベスト4に進出する

調子のぶっこきよう!

 

なぜこういう気持ちを抱いていたのか?

それは大阪人によくある首都圏憎しがあったからです。

当然、ワシも例外ではありません。

 

 

浦和市立に対しても

宇都宮学園を倒してくれてありがとう。

君たちのミッションは終わった。

次で速やかに負けるように」と願っていました。

 

準々決勝で負けていたら

今でもいいイメージを持っていたと思います。

しかし勝って、余計なことをしたがために

今でも私は浦和市立(現市立浦和)が嫌いです。

 

この準々決勝はテレビで見てました。

ホームランなどで宇部商が3対0とリードするも

選抜ベスト8の左腕である

木村投手が中盤以降にとらえられ

3対3の同点に。

そして終盤に冒頭の展開になるわけです。

 

ピンチのときにニコニコ笑っている

浦和市立の星野投手に対して

敗戦を覚悟したんやなと思っていましたが

このピンチを内野ゴロで脱出すると

10回表に4点をとって勝ってしまうのです。

宇部商最後の打者のピッチャーフライを

キャッチした瞬間、満面の星野スマイル。

それに対してワシは同じ星野でも

仙一さんのように暴れまくりたい心境。

 

 

準決勝の広島商業戦は

群馬県高崎高校、川端投手ばりの

スローカーブも投げていましたが

ようやく2対4で敗戦。

広商、サンキュー!

 

大振り大好きチームには勝てても

丁寧に野球をやってくるチームには

勢いで喰うというのは難しかったと

今になって思います。

沖縄水産福岡第一やったら

(ベスト4は広商、福岡第一沖縄水産浦和市立)

もしかして喰えたかもしれません。

 

 

この年は大阪でも星野スマイルは

かなり話題になっていました。

 

 

サヨナラ負けの大ピンチに

ニコニコ笑っていられる精神状態は

すごいなと思っていました。

当時はマウンドで歯をだして笑うのは

かなり珍しいことでしたから。

 

ここからは余談になってしまいますが

私の嫁さんは当時浦和市吹奏楽部で

甲子園のアルプススタンドで

クラリネットを吹いていました。

 

町亜聖(前日本テレビアナウンサー)と同期。

 

初戦敗退前提で甲子園に行ったけど

勝ち進むうちに優勝するんじゃね?と

ドデカい勘違いをしてしまってたようです。

 

負けて魔法が溶けたシンデレラたちは

余韻に浸らせてくれる時間もなく

球場から追い出され

バスでとっとと帰ったようです。

 

甲子園三塁側アルプススタンドに

置き忘れたであろう

ガラスの靴は

広商応援団のしゃもじで

木っ端みじんに割られていたことでしょう。

 

お疲れさまでしたぁ!